2017年5月18日木曜日

岡本太郎「キャンバスからはみ出せ」の捉えかた

 稀代の芸術家、岡本太郎の名言に「キャンバスからはみ出せ」があります。この言葉をどう捉えるかは人それぞれですが、わかるようで何だかわからない言葉でもあります。たとえば、これは単純にキャンバスの中に絵を小さく描くな、はみ出してもいいから大きく描きなさいというアドバイスなのか、あるいは、生き方としてキャンバスだけにとどまるような人間になるな、なのか、またそのどちらもなのか、が人それぞれ解釈の自由がある言葉だからです。
 まあ、哲学的な言葉ですから捉え方が様々ですが、真意が知りたいと考えるのは自然の流れです。僕個人としては、四角いキャンバスにこだわらずにもっと広い視野で絵を描く感覚は捉えたことがあります。しかし、生き方としてキャンバスからはみ出す生涯を送る感覚は正直わかりません。これは芸術家とか職業画家とかではなく人間としてどうかの問題であると思うのです。岡本太郎はゴッホについて著書で「彼はひたすら人間であった」と記しています。つまり、絵を描くことだけをしている人はただの職業画家であり、精神的な苦悩を抱えていないのです。その意味でゴッホは自殺してしまうまで大変な精神の格闘をし続けました。芸術家は苦悩し、より人間的に生きるから芸術家なのだと言いたかったのだと思います。
 そう考えるとやはり「キャンバスからはみ出せ」発言の真意は、一見目の前のキャンバスに絵を描いて見せる時に絵画講師が「さあ、キャンバスなんて関係ないので、自由に描いてみましょう」と指南しているように見せかけていますが、やはりそれは真意ではなく、キャンバスに収まるような小さい人生を送るな、より人間的に生きろと言っているような気がしてなりません。若者を応援し魅了し続ける岡本太郎の言葉は本当に奥が深いと感じます。
『岡本太郎の功罪』☟
http://tundereboyz.blogspot.jp/2016/05/blog-post_94.html






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