2017年6月7日水曜日

カートコバーンが呼んでいる

 ニルヴァ―ナやカートコバーンの名前を知らなくても『Smells Like Teen Spirit』という曲をどこかで聴いたことがある人は多いと思います。1度聴いたら耳を離れないキャッチーなサビが印象的な曲です。英語が苦手な僕は、はじめてこの曲を聴いた時「ハローハロー」と連呼しているように聞こえたのですが、実際は「Hello,hello,hello,How low」が正解です。とにかく歌詞はわからなくてもボーカルのカートコバーンの魂のような雄たけびが、心に響くことだけは確かです。
 そもそもニルヴァーナというバンドはどのようなバンドだったのかというと、アメリカのワシントン州のアバディーンで結成された3人組のロックバンド。よほどのファンでない限りはボーカル&ギターのカートコバーンの名前以外は答えることができないはずです。なぜこれほどまでにカートコバーンのインパクトが強いのかというと、彼は27歳の時に自殺をしてしまったからです。
 ニルヴァーナの音楽は、グランジというジャンルのものです。カートコバーンの風貌、音、声のどれをとっても、もろにグランジだと思います。当時、グランジロックのバンドは他にもたくさんいたそうですが、なぜニルヴァーナだけが売れたのかというと、それはやはりカートコバーンのキャラクターが関係していることが大きいと思います。グランジファッションを流行させたのも彼の功績です。そして、あんなにもボロボロの古着を着こなせるのはカートコバーンに清潔感があり、笑顔が素晴らしく、ハンサムであるからです。
 冒頭にも書いたようにニルヴァーナの最大のヒット曲であり代表作は『Smells Like Teen Spirit』です。この曲をカートコバーンは計算して作ったそうです(世に出るために)。タイトル通り10代の若者たちから熱狂的に支持を受けニルヴァーナのバンド名はアメリカ全土に知れ渡ることになるのです。
 この計算通りの成功がカートコバーンを悲劇的な結末へと追いやったと推測することは何ら不思議ではありません。彼はどこか世捨て人の雰囲気を漂わせています。加えてうつ病を患っていたとか、ドラッグに手を出していたという証言もあるのです。これらはゴシップかもしれませんが、アバディーンという林業の町で育ったカートコバーンにとって、予想通りとはいえ、大成功し有名になってしまったことは思いのほか、彼を苦しめたのではないかと考えることもできるのです。
 残されたカートコバーンの写真の顔を見ていると、子犬のような表情というか、何かに怯えているような表情をしています。あれだけ音楽的に成功し地位と名声と財産を手に入れても、不安な何かがあったのかもしれません。

 カートコバーンは27歳で自殺し、夭折のアーティストとして神格化されました。彼は生きている間ずっと少年のようでした。カートコバーンの曲を聴いて育ったティーンたちは、28歳になった時に、彼を乗り越えてしまったと悔いるのです。そして、彼が生きていてくれたらと考えながら大人になっていくのです。
 『Smells Like Teen Spirit』は不滅の名曲です。カートコバーンは、鬱屈したすべての10代をこれからも呼び続けるでしょう。「こっちへ来いよ」って。


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