2018年9月10日月曜日

労働の搾取

 例えば、飲食店のアルバイトを募集していて、A君が応募するとします。履歴書を持参し、面接を無事突破。さあ出勤という流れです。おそらく最初は誰でもできる皿洗いからスタートするはずです。僕も昔、飲食店でアルバイトしていましたが、最初は皿洗いでした。
 やがてA君が皿洗いを慣れてできるようになると上司から「今日は25分以内に終わらせるように」と告げられます。最初は40分くらいかかっていた皿洗いを25分で終わらせなければならないということは15分間は搾取されていることになります。これが労働の搾取です。得するのは資本家つまり現代で言うところの社長なのです。
 さて、A君が25分以内に皿洗いをこなせるようになると、次はホールの仕事や厨房の仕事もお願いされるようになります。息をつく時間などありません。次はコレ、終わったらアレと目の回るような忙しさです。最終的にはまかないを作らされるかもしれません。結局A君はアルバイトなのにそこの職場で社員以上に仕事ができるようになっていきました。けれどもA君はアルバイト契約のままで時給は最初と変わらないままです。
 アルバイトなのに社員並みの労働力を求められることは危険極まりない世界です。行きすぎると過労死に繋がりかねない深刻な事態です。それでも資本家の搾取のために労働者は労働力商品を消耗し続けなければなりません。これができないものは辞めていくしかありません。実際問題、仕事のできない人、労働の搾取に耐えられない又は労働の搾取に気づいてしまった人々は適当な理由をつけて足早に辞めていくものです。
 A君が労働の搾取を逃れるためには「皿洗いだけやらせてください」と申し出てダラダラと皿を洗い続け、時給数百円を獲得するしか術はありません。しかし、現実的に考えてそのようなことをやっているとクビになる、すなわち自己退職をするように持って行かされることは明らかです。
 現代社会において、労働者は搾取から逃れられない縮図なのです。

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